システマティック・レビューは、一定の基準や方法論をもとに質の高い臨床研究を調査し、エビデンスを適切に分析・統合を行うことであり、メタ・アナリシスは、過去に行われた複数の研究結果を統合するための統計解析である。
システマティック・レビューとメタ・アナリシスの歴史は1904年にPearsonが腸チフスに対するワクチンの既存データを再検討し、統合を試みたことに始まるとされている。Yusuf (1985) らによる心筋梗塞後のβブロッカーの長期投与に関するメタ・アナリシスは、臨床試験の評価にメタ・アナリシスが急速に広まる契機となった。
黎明期から初期の時代の方法論においては、研究間の差に偶然誤差を仮定したfixed effect modelが中心であったが、近年では、各研究間の無視できない差(異質性)をモデル化したrandom effect modelや、ベイズ統計学の枠組みの下でのBayesian modelが中心となってきている。さらに現在では、3種以上の薬剤を比較するネットワーク・メタアナリシスなどの新しい統計手法も登場し、医学分野で数多くの報告がなされるようになってきた。
我々は、特に呼吸器・アレルギー領域における臨床的に重要なクリニカルクエスチョン対し、これらの統計手法を適応し、解析を試みている。