気管支喘息患者さんの3~5%は様々な治療を用いても病状が安定しない難治性喘息と呼ばれる状態です。
難治性喘息を、
などの指標を用いて分類し、クラスター解析という統計学的手法で特徴ある集団に分けることが試みられており、これをフェノタイプ分類と呼びます1)。
フェノタイプとは、
遺伝子型が形質として表現されたもの
であり、遺伝的体質と環境的影響の相互作用の結果として生じる、可変性の特性です。
現在様々な研究でクラスター解析がなされており、統一されたフェノタイプはありません。かつてはアレルギー性、非アレルギー性(アトピー性、非アトピー性)に分けられてきましたが、フェノタイプ分類の一例をあげますと、
などの特性が加わります2)。
しかし、これだけでは必ずしも治療に結ぶつかず、そのフェノタイプ分類からその集団の根底にある遺伝子等を含めた分子などを特定することが重要です。
疾患の背後にある分子病態をエンドタイプと呼びます。
最終的には疾患をエンドタイプで分類し、治療に結び付けていくことが目標となります。
個々の患者さんの特性に対して最適な医療を提供するという、個別化医療が喘息診療でも目標とされています。
そのために多くの研究者が注視し、今後さらなる発展が期待される分野です。