喘息のフェノタイプ・エンドタイプについて
Asthma phenotype and endotype

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喘息はフェノタイプでさらに細分化される
Goal for asthma treatment

気管支喘息患者さんの3~5%は様々な治療を用いても病状が安定しない難治性喘息と呼ばれる状態です。
難治性喘息を、

  • 発症年齢
  • 経過
  • 性別
  • 重症度
  • 呼吸機能
  • 画像検査
  • 血液検査
  • 治療反応性

などの指標を用いて分類し、クラスター解析という統計学的手法で特徴ある集団に分けることが試みられており、これをフェノタイプ分類と呼びます1)。

フェノタイプとは、
遺伝子型が形質として表現されたもの
であり、遺伝的体質と環境的影響の相互作用の結果として生じる、可変性の特性です。

喘息のフェノタイプにはどのようなものがあるか?
Classification of asthma phenotype

現在様々な研究でクラスター解析がなされており、統一されたフェノタイプはありません。かつてはアレルギー性、非アレルギー性(アトピー性、非アトピー性)に分けられてきましたが、フェノタイプ分類の一例をあげますと、

  • 若年発症/アトピー型
  • 高齢発症/好酸球優位/非アトピー型
  • 高齢発症/喀痰好中球優位/非アトピー型/強い症状
  • 肥満/女性優位、肺機能低下、喫煙

などの特性が加わります2)。

エンドタイプはフェノタイプの背後にある分子病態のことです
Asthma endotype

しかし、これだけでは必ずしも治療に結ぶつかず、そのフェノタイプ分類からその集団の根底にある遺伝子等を含めた分子などを特定することが重要です。
疾患の背後にある分子病態をエンドタイプと呼びます。

最終的には疾患をエンドタイプで分類し、治療に結び付けていくことが目標となります。

個々の患者さんの特性に対して最適な医療を提供するという、個別化医療が喘息診療でも目標とされています。
そのために多くの研究者が注視し、今後さらなる発展が期待される分野です。

参考文献

  1. 難治性喘息 診断と治療の手引き2019 メディカルレビュー社
  2. Opina MT, etc. Phenotype-Driven Therapeutics in Severe Asthma. Curr Allergy Asthma Rep 2017;17;10

著者

原文:山本真弓 / 校正:井上英樹