サルコイドーシス

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サルコイドーシス

サルコイドーシスは全身のほぼ全ての臓器を冒す良性肉芽種性疾患である。頻度の高い病変は肺、リンパ節、眼、皮膚であり、生命・機能予後を左右する病変に心臓、神経、腎臓などがある。発症年齢は女性が20歳代と50歳代以降、男性は20歳代に多いが、近年は高齢発症が増加している。

無症状で検診の胸部X線撮影などで発見される例が多いが、近年は有症状のものが増えている。咳・痰・息切れ、眼症状、皮疹、不整脈、麻痺など、多彩な臓器特異的症状がある。眼の症状のうち、霧視(かすみ目)や羞明(まぶしい感じ)が有名である。全身症状として発熱、体重減少、疲れ、痛み、息切れなどがある。

原因は不明とされているが、原因抗原に対するⅣ型アレルギー反応がおこり肉芽腫を形成すると考えられている。原因抗原としてアクネ菌(ニキビ菌)や抗酸菌などの微生物の関与についても報告されている。

病変部位の生検を行い、病理所見で非乾酪性類上皮肉芽種が認められれば診断される。病理で診断が困難な場合は、臨床症状や特徴的検査所見(両側肺門縦隔リンパ節腫脹、血液中ACEやリゾチーム高値、sIL-2R高値、GaシンチグラフィやFDG/PETでの集積、気管支肺胞洗浄液でリンパ球比率上昇、CD4/8比>3.5)、臓器病変などを総合的に評価して診断する(血液中のリゾチーム検査は自費検査項目となる)。当科では、気管支鏡検査で肺生検、気管支肺胞洗浄検査を行っている。また全身の評価を行い、病変部位に応じて他科と連携し検査を進めている(皮膚科、眼科、循環器内科など)。

症状が軽く自然軽快が期待される場合には無治療で経過観察とされる。臓器障害があり日常生活が障害される場合や、生命・機能予後悪化のおそれがある場合は副腎皮質ステロイド薬で治療を行う。再発・難治症例には二次治療薬としてメトトレキサートやアザチオプリン、シクロフォスファミドやTNF-α阻害薬などの使用も考慮する。予後は、自然軽快、短期改善例が多いが、有症状で多臓器病変の場合には遷延化し数十年の経過をたどることもある。寛解後も、線維化肺、心機能不全、神経症状、筋力低下などが残存する場合がある。生命予後を左右するものとして心臓、肺病変が重要となる。

リンク

難病情報センター
http://www.nanbyou.or.jp/entry/110

日本眼科学会
http://www.nichigan.or.jp/public/disease/budo_sarcoidosis.jsp

研究業績

鈴木 慎太郎ほか. 気管支喘息に類似した気道症状を主訴に受診したサルコイドーシスの1例. アレルギー. 2019; 68: 576.

鈴木 誠一ほか. 血清可溶性IL-2受容体の著明な上昇を認めた肺急速進展型サルコイドーシスの1例. 日本内科学会関東地方.会2007; 544回 Page24.

著者

賀嶋 絢佳水間 紘子