気管支鏡検査は気管支、肺疾患における診断、組織採取や肺胞洗浄液の分画の精査や感染症の診断などのためのアプローチ法である。
具体的には以下の病態に対して気管支内視鏡検査を行う。
(1)画像によって検出された病変の診断目的
検診や画像検査により発見された小結節影や腫瘤影、その他びまん性肺疾患、感染症など
(2)無気肺や肺炎
中枢気管支などの観察、病変があれば生検を行う。
(3)喀痰細胞診陽性例
(4)喀血、血痰、咳嗽、喀痰、呼吸困難感、喘鳴などの症状を認める場合
①経気管支肺生検(TBLB)、擦過細胞診
→気管・気管支および肺の限局性病変の確定診断を得るために、気管支鏡を用いて病変部からその一部(組織)、細胞、細菌などを採取する方法である。生検は鉗子で病変をつまみ取り、擦過細胞診は病変をブラシで擦り取る。対象となる呼吸器疾患には過敏性肺炎、膠原病性間質性肺炎、薬剤性肺炎、好酸球性肺炎、サルコイドーシス、じん肺、肺癌、肺炎、リンパ腫や白血病などに合併する肺病変等の診断などが含まれる。
②経気管支針生検
→経気管支針生検は、腫れたリンパ節や腫瘤などが、気道の外側に接している場合に、気道の内側から病変に針を刺して、細胞、組織を採取する方法である。
③気管支肺胞洗浄(BAL)
→気管支鏡を用いて、肺の一部に滅菌した生理食塩水を注入して回収し、回収した液(洗浄液)を解析することにより、疾患の診断や病態を明らかにするための検査です。対象となる呼吸器疾患には、呼吸器感染症、特発性間質性肺炎、過敏性肺炎、膠原病性間質性肺炎、薬剤性肺炎、好酸球性肺炎、サルコイドーシスなどの肺の中に広範に広がる病変を呈する疾患が含まれる。
④ガイドシース併用気管支腔内超音波断層法(EBUS-GS)
⑤超音波気管支鏡下経気管支リンパ節穿刺法(EBUS-TBNA)
→当院では末梢の孤立性結節影、縦隔、肺門部のリンパ節腫大などの精査に対して積極的にEBUSを併用した気管支内視鏡検査を行っている。詳細はEBUSの項を参照。
気管支内視鏡検査による主な合併症としては検査の侵襲による気胸、出血、肺炎、また薬剤の投与に伴う喘息、不整脈などの増悪、リドカイン中毒などがある。気管支内視鏡検査前に、問診ならびに各種検査で合併症のリスクを評価し、カンファレンスで事前に検討する。
当院では週に6-10件、年間300件程度の気管支内視鏡検査を施行しております。
また「苦痛の少ない気管支内視鏡検査」を目指しておりミダゾラムやオピオイド(フェンタニル、ぺチジン塩酸塩)などの鎮静薬も入院下にて積極的に投与を行なっております。(併存疾患によっては一部投与できない薬剤もございます。)
患者様で上記の症状でお困りの方もしくは開業医の先生方で上記の症状、病変を認める患者様がおりましたらぜひ当院を受診もしくはご紹介いただければ幸いです。