間質性肺炎は易疲労感や呼吸困難を主症状とする疾患で、診断から死亡までの生存期間が短く、難病の1つと言える。間質性肺炎の原因は、膠原病(関節リウマチなど)や 環境因子(羽毛布団の使用や木造住宅への居住など)、 薬剤など非常に多岐にわたるため、 詳細な問診(出身地、 職業、 生活環境、 ペット飼育歴、 サプリメントの使用歴など)や血液検査、 画像検査などが必要である。気管支内視鏡検査や外科的肺生検が有用な場合もあり、当院では呼吸器内科と呼吸器外科が協同して診療にあたり、適宜検査の妥当性について協議をしている。また、原因特定のため、患者の自宅に直接赴き環境調査を行うこともあるが、なかには原因が同定できないものも存在し、その場合に特発性間質性肺炎と診断する。
間質性肺炎は感染を主体とした身体的ストレスをきっかけに、急性増悪と呼ばれる致死的な状態に陥ることがある。急性増悪を起こした患者は一般的に重症度が極めて高く集学的治療が必要になる。
肺間質の「線維化」という間質性肺炎の病態機序が明確になっておらず、 また一旦線維化が生じてしまうと元通りに修復することが困難なため、確立された治療はありません。しかしながら、間質性肺炎の種類によってはステロイドや免疫抑制剤により改善効果が期待できます。また、抗線維化薬により病気の進行を抑制できる場合もあります。当講座では間質性肺炎を対象とした基礎研究、 臨床研究を行い、本領域の発展に貢献すべく尽力しております。